川崎和男さんへの提案

川崎和男さまへ事前メール

はじめまして   桒原利行でございます
 
ご多用のところ貴重なお時間をいただけるとのこと
感謝いたしております
 
お目にかかる前に趣旨をお伝えしておきたいと存じます

具体的にどんな形でお力をお借り出来るかは当日よろしくお願いいたします
 
 
【目的】日本の新しい産業を創る
 
これまでのやり方  品質と価格に重きをおいたモノづくり 
このままでは中国や韓国などアジア諸国の中で埋没してしまう事は議論を待たないと思います
 
創造性と情緒的価値に重きを置いた新しい産業創出が必要です
 
産業には 
・働く場所をつくること
・税金を収め個人の税負担を軽減すること
に加え  国際社会の中で
・日本人としての誇りを保つこと
という役割がありますが  
次の世代の若者たちに誇りを持てる日本を残したい
という強い想いが有ります
 
新しい産業は 日本ならでは  これぞニッポンと言える 
日本文化を核としたものである必要があると考えています 
そのためには明治維新あるいは律令制導入時にまで立ち返り 
日本の強み  日本人の幸福とは何かに思いをいたすべきです
 
産業論  文化論あるいは文明論に時間を費やすのは別の事として
先ずは叩き台をこしらえることにしました  
ニッポンの核になるアイデアを創るCOREiDEAというプロジェクトを手弁当の有志の皆様50名でたち上げました
COREiDEAの目指すことは別紙をご覧ください
今回ご相談させていただくテーマはそのうち「創るCOREiDEA」です
 
 
新しい産業の要件は
(1)作り手も 売り手も  使い手も  心ゆたかにになること
(2)世界の人々の共感を得ること
と考えています
 
 
(1)作り手も 売り手も  使い手も  心ゆたかにになること
 
日本の強みを活かす  すなわち職人力商人力を活かし
顔の見えるモノづくりコトづくりを実現したいと考えています
 
量から質への転換   物の豊さより心の豊さを念頭に置いております
 
モノ・コトを通じて作り手  売り手  使い手の間柄を創ることを目指します
経済学では  もののやりとりを贈与と交換に二分しますが 日本人にはどちらでもない お互い様の心が有ります  お互い様の心は間柄から醸し出されます
まずは間柄創りからはじめましょう
IT化は全ての情報がデジタルに(0か1に)書き換えられると勘違いさせます
目に見えない間柄を創り なおかつその間柄を克明にIT上に載せる新たなビジネスモデルへの挑戦も可能と考えています
様子から感じ取る 気配を察する これは日本人の得意とするところです ブランドやCRMといった既に日本人が江戸時代に完成させたものを今更 あたかも外来物のようになぞるのは止そうと考えています

出典
間柄  和辻哲郎「風土」
贈与と交換  中沢新一対称性人類学

 
(2)世界の人々の共感を得ること
 
人口と市場規模で圧倒する中国やインドが台頭して来た場合
いずれ「たくさん作ってたくさん売れている  それで?」という世界ができあがります
そうなった時  世界一の販売台数とか世界シェアとかは現在とは違いあまり意味を持たなくなるに違いありません    
そんな時代に日本は 量ではなく質で共感を得るようになりたいと思います
 
また日本人は古来から  良いものは他に有る  海外に有ると思ってきました
日本人が誇りを持つためには世界の人々の共感を得た後  国内に紹介をする というプロセスが効果的です



【新しいくるま】新しい産業の嚆矢として世に放ちます
 
本人が作るとクルマはこうなる を世界に示します
要点は以下三点です
 
情緒的価値
どことなくカワイイ  キレイ   なんとなくココチヨイ
 
三位一体(作り手  売り手  使い手)
作り手が与えるだけでなく売り手も使い手も参画しその間柄から創造
 
世界が共感
先ず海外(フランスから発信  アメリカ)そして日本へ
 
 
具体的には
 
モノ
気がるに買えて  気ままに使える四輪スクーター
バーハンドルでペダルレス  
使う人が作る人売る人との間柄で  新しいモノを創ります
 
コト
ふらっと家を出て   好きな場所で停めて本を読んだり音楽を聞いたりビデオを見たりと気ままに使え  途中知り合いに会ったら挨拶ができ 興に乗ればおしゃべりもできる  そんな新しいコトを創ります
 
女性は高いヒールのままでドライブできます
免許更新さえ怠らなければシニアカーとして使えます
車椅子のまま乗り込める構造も可能です
 
モーター駆動を想定していますが
当初日本ではエンジン駆動を用意します
モーター駆動版はフランスから市場導入します
日本で電気自動車が市民権を得るには時間がかかるからです
 
基本は一人乗り  最大四人乗りまで
 
一人乗りの場合 たとえば
運転席背後の空間には本とか音楽など趣味のグッズ そして二人分の椅子も載せて行きます 持ち出して木蔭などで使います
日本では原付免許  フランスでは免許不要です(最高速度40キロ)
 
後席に二人  計三人乗り
さらにステアバイワイアーで 前席二人後席二人  計四人乗りまで想定します
日本では軽自動車区分です
 
製造販売は地場の自動車修理屋さんやバイク屋さんで行います
モーターホイールとコントローラや電池など基幹部品は大量生産ですが その他は中小企業で組み立て可能な構成とします
仕様は一台一様ですので世界にひとつの文字通りマイカーです  
名前は一台一台使い手が付ける事になりましょう
 
日本ならではのくるま  の極め付きをご説明しましょう
1)命を大切にする    物にも命を吹き込む
2)絆をつくる   地域のつながり  助け合い
3)和風 言わば和室発想 いまふうに言えば走るアプリ
4)まさかのそなえ 情報とエネルギーのつながりが生命線
 
 
1)命を大切にする    物にも命を吹き込む
 
自動車は馬車に替わる乗り物として階層社会で生まれました
そのため安全は乗る人を主体に考えられ  歩行者の安全が考えられるようになったのはつい最近のことです
日本人がつくる乗り物は  命を大切にするということに最も重きを置きます 例えば奈良を走るなら  神様の使いである鹿が傷む事の無いよう ボディを樹脂にして  乗り物の方が壊れる構造はないかと考えます
乗り味  書き味など日本人はモノに「味」を求め 武道  茶道などコトを哲学にして「道」に高めます   モノにも命を吹き込みます  
工場の機械に名前を付けたりして 愛着という言葉を超えます
作り手は日用品でさえ「銘」を入れようとします
日本人の心情にあった気持ちの通じるモノに仕立て上げます


2)絆をつくる   地域のつながり  助け合い
 
人情仕草
 
群衆の中でなければ  初めて出会った人でも  会釈をしたり一言二言 言葉を交わしたくなるのが人情です  江戸仕草と呼ばれるものが生まれたように  人と人がなめらかに過ごしていけるようくふうをします
「暑いですね」とか「こんにちは」とか  あるいは「お先にどうぞ」「これはこれはありがとう」とか くるま同志が絵文字のようなものでコミュニケーションできたら  喜ぶ人は少なくないと思います
ゆっくりしたスピードが環境を変えると考えております
バイクや自転車くらいのスピード  しかもバイクのようにうるさくない
樹脂ボディにすれば  半透明でも車外の気配を感じとることができます   透明ならファッショナブルな装いをアピールできますし
日本家屋のような開放感が生まれます
今の自動車なら 何か伝えようにもうるさいし 気が付けば目の前を走り去ってしまっています

相互扶助
 
電気自動車は航続距離が課題になっています
見知らぬ土地を走っていて電池が切れた場合 日本人なら知らない人でも見過ごせなくて助けたいと願うでしょう
他のくるまから電気のおすそ分けをするとか  蒸気機関車のように重連で戻ってくるとか  日本人であれば助けあいの知恵は広がります
例えば道路脇にはまりこんだりしても 電気駆動なら車重が軽いので通りがかりの大人二三人で脱出できます 無理な場合は電池を取り外し可能にしておけば大丈夫です
近距離コミューターですので府県を乗り越えてまでの遠出は想定していませんが  困った時はあいみたがい  助けあいの気持ちを引き出すような乗り物であって欲しいと思っています 
 
お互い様の心なのか 家族で食べきれない食べ物が手に入ったときなど 知り合いにおすそ分けをします
昔はリアカーであったり乳母車や耕運機でしたが今は一輪車くらいでしょうか 今でも田舎ではそういう風景を目にします
新しいくるま でおすそ分けがしやすくなるといいですね

 
3)和風 言わば和室発想 いまふうに言えば走るアプリ
 
アレンジ次第で居間になたり寝室になったり客間になったり融通無碍 和室の発想です
計器やオーディオ  カーナビはipadひとつで済ませたいと思います
電気駆動の場合  電池  コントローラー  インホイールモータが基幹部品ですが どれも個別に取り替え可能なので  くるま自体長持可能です
永い付き合いを望めば(多分21世紀はそうなると思いますが)
くるまもリフォーム   とかあるいは季節に応じて  くるまも衣更え  とか
好みに応じて  くるまも衣装直し   とかが可能になります
今風に言えば  走るアプリ 

変幻自在な自分空間
コンパクトな隠れ家
。。。 
音声による感情認識技術を使えば   くるまとの会話やくるまを交えて車内会話が盛り上がる
最新脳科学を活用して車内を創造空間に
家とドッキングして部屋になる
などなど日本人らしい夢起点の発想が広がります

装備次第で  ナイトライダーやヤマトの相棒  にも仕立て上げることが可能です   
人間が運転するなんていう事は  もしかしたらもう古い考え方かも知れない   これからは  自我を持ったロボクター(ロボットタイプのスクーター)が人間の欲望や考えを察知し   その腕に抱くようにしてその行き先や目的まで誘ってくれるようになるでしょう
アメリカではせいぜいハリウッドの映像の世界ですが
これを現実のものとするのがジャパン  ひとつのジャパンクールと言えないでしょうか

 
4)まさかのそなえ 情報とエネルギーのつながりが生命線

今回の震災で身につまされることになった そなえ  についてしっかり考えたいと思います
  
情報ネットワーク
携帯電話のネットワークがいざという時  命優先になっていないことが露呈しました  無線LANを高度化したウエブ型ネットワークを構築しておく必要性が明確になりました 
くるまにも無線LANルーターを搭載して緊急連絡の備えが必要です
今回の震災で自動車の渋滞が被災者を増やしました
いざという時  地域最適の交通誘導を可能とします

エネルギーネットワーク
インターネットが開発された理由を鑑みれば
エネルギーネットワークもウエブ型にしておくことが必要です
もしもの場合  くるまも蓄電装置として使えるよう備えが必要です

COREiDEAでは  くるまの他に家庭用ロボットや住人見守りシステムも考えておりますが
その全てに無線LANルーターと蓄電装置は必須とします

 
##雑話##エンジン車と電気自動車
 
エンジン車は重くて熱い振動するエンジンがベースになっています
エンジンは衝突時には乗る人にとって凶器になります
しっかりした土台で支える必要が有ります   そうでないと100キロも200キロもある熱い鉄の塊がふっとんでくるからです
今回の震災では自動車が凶器になりました   津波で流された自動車に轢かれたり押し潰されたばかりか  津波で押し寄せた自動車が発火し避難場所(石巻市門脇小学校)が炎上したりしました
 
またエンジンは自動車を複雑にし産業構造にも大きな制約を与えています
車体を頑丈にすることと膨大な部品点数を必要とすることです
車体を頑丈にすることは超大型のプレス機を必要としますので巨大資本を必要とします    部品点数の多さは下請け階層構造を不可避にします 三次下請け四次下請けともなれば  自動車のどの部分を造っているのか分からず  ただ上位下請けの言われるままに仕事を引き受ける他ありません   人間性を無視された  かつての絶望工場がそこには存在しています
出典
モンテカルロ賞2011年ゴールデンニンフ賞 『笑ってさよなら〜四畳半下請け工場の日々〜』

 自動車産業だけでなく規格大量生産大量販売により
似たような製品が街にあふれますので   作り手の顔は見えないし
同じ物をどこにでも見つけられるので  様々な物に名前をつける  日本人といえどもニックネームさえ付ける気持ちにはなりません
 
しかし電気駆動の場合  いままでのエンジン車では常識であったことがいくつか常識破りになります
  
現在の自動車産業のビジネスモデルはアメリカによるものが中心です 
例えばモデルチェンジ  飽きを誘発させて買い替えを促進させる
DNA解析が進み  新し物好きDNAが発見されました
アメリカ人の4割はこのDNAを持っています(日本人は1割強)
アメリカの自動車産業GM)IT産業(Microsoft)はこれで多くの売り上げをあげて来たと言えます   さらにはリーマンショックを誘発した住宅を中心としたクレジットバブルもこれが真因と言えます

出典
NHK教育テレビ 「サイエンス」2010

##雑話##