茂木健一郎さんのブログから引用;エントロピー増大の法則だ

September 24, 2005 at 04:44 AM | Permalink | コメント (9) | トラックバック (3)

ネット上の正負の法則

ネットの発達によって、
どんなテーマに対しても、誰でも自由に
意見を表明できるようになった。

 その結果、ある事項に対して、ポジティヴな
評価だけでなく、ネガティヴな評価も
必ず混じって書き込まれるようになる。
 情報操作や管理をすることなど、
どんな権力者でも不可能で、
 書きたい人はとにかく書く。

 小林秀雄が、「愛するということからし
創造性は生まれない」と言っているように、
私はイヤなこと、醜いことはさっさと
忘れてしまうことにしている。
 実生活で、時折、とてつもなくイヤなグルーヴを
出している人にあったりするが、
 そのような時は全力疾走でだーっと
逃げて、忘れてしまうことにしている。

 ネット上の書き込みもそうで、
自分自身や、自分にとって大切な
人、ものに対するイヤな感じの書き込み
(とりわけ、筆者自身のルサンチマン
濃厚に漂っているもの)に出会うと、
うゎーつとは思うけれども、
 さっと忘れて私にとっての
太陽の方向を見ることにしている。

 愛すべき偉大なものはこの世に
あって、それに向き合っているだけで
人生などあっという間に過ぎてしまうからだ。

 さらに進んで、ポジティヴとネガティヴが
入り交じって初めてあるものの個性が
際だつ、ということがあるのだな、と
最近思っている。
 神経細胞のネットワークで、
興奮性結合と抑制性結合のバランスが
とれて初めてある神経細胞の機能が
成り立つように、
 社会における評価もポジティヴと
ネガティヴが入り交じるのが一番良い
のではないか。
 熱烈な
支持と、猛烈な反発をくらうくらいの
方が大物であり、本物なのではないか。
 ネットはそのあたりを如実に
視覚化する。

 親友の竹内薫の薫日記には、
ネット上でネガティヴ・オーラを
発している人に対して怒り/哀しみ/嫌悪
が時々書かれているけれども、
 実はそういう人たちがいて社会というのは
立体的になっているのかもしれないと
思う。

 高度に情報化した社会では、
ネガティヴな評価は、
実は致命傷にならない。
 それが、ここ数年様々な事象を観察して
私が達した結論である。
 無視されるのが一番の「マイナス」
で、
 全部ポジティヴというのは
どこかおかしく、
 ネガティヴとポジティヴが混ざり合うのが
一番くっきりとその対象の個性が際だつ。
 インターネット上は特にそうである。
 どうやらそんな、「ネット上の正負の法則」
が成立しそうだ。

 私自身は愛に生きたい。
 憎しみやルサンチマンは、何も
生み出さない。
 小学校5年生の時、ブルーバックス
の『アインシュタインの世界』を読んで
感じた何か。
 たとえばそのようなものを大切に
して行けば、
 人生はきっと誤らないと思う。

                                                                1. +

ここまで茂木健一郎さん